ソーシャルリサーチ論&家族関係論演習の観察実習

 月曜日に最後のまとめの授業があるので、その後追記しますが、先週、非参与観察の実習をしてもらいました。昨年は、箕浦先生の教科書に載っている(また、昔勤めていた大学で箕浦先生に特別講義に来てもらった時に、見せてもらった授業でやっていた)交差点の観察という課題を出していたのですが、今年は授業の形態にあわせて少しカスタマイズし、他授業との関連で、二つの課題(A、B)を設定し、学生にはどちらかをやってもらうことにしました。

 交差点観察課題の肝の一つは、二回観察して、一回目は全体観察、二回目はリサーチクエスチョンを立てて観察するというところで、リサーチクエスチョンによって見え方がどう変わってくるか、というところにあります。この要素を残した形で、A課題として「1回目に大学の食堂観察を行う」という条件を設定した観察課題を出しました。例年とおりで行くならば、二回目も同じ食堂の観察になるのですが、今回は、食堂観察からRQを立てた上で観察場所を変えてもよい、という自由度の高いものとしました。たとえばこうすることによって、今までは食堂や交差点という「場所」を固定した形で比較するという設定になっていたのが、別の食堂という場所を設定して比較してもよいし、「人の集まり」として抽象化した上で、他の「人の集まり」と比較してもよいということになりました。意図としては、「観察の単位・対象」として何を設定しているのかということにより自覚的になってもらうということで、こういう設定にしてみました。昨日、出てきたレポートをざっと読んでみたのですが力作もあり面白かったです。

 以上のA課題に対して、大学前のお祭りにゼミで参加する人たちには、B課題として祭りの参与観察課題を出しました。こちらはかなり無理やりな感じで、お祭りの手伝いをしながら祭りの様子を観察して、祭りの主催者に対して何らかの提言をしてみるというような感じ。これは、授業でDCM(Dementia Care Mapping 認知症ケアマッピング)という施設における認知症ケアを「利用者本人中心」という観点から評価する方法の映像を見たので、それにならって、あらかじめ観察ポイントや評価ポイントをそれなりに決めておいて、それに沿って、調査グループを組織して観察してみてください、というような文脈で出してみました。手伝いをしつつ、人もたくさんだし、大学の外でもあるという悪条件の下で、たぶんリーダーとなったSR論参加者の人たちは大変だったと思います。まだ、こちらのレポートは読んでいないのですが、A課題に比して、出てくるものの想像がつかないので、楽しみではあります。

 時間があれば、提出されたレポートからいくつか紹介してみたいと思います。