人口流出地域において関係をどう形成するか?

※ビール飲みながら書いているので後で修正するかもしれません。

 先日の家族関係論演習でも話題になった、いわゆる過疎地域の孤立をどうするかという話。『孤立の社会学』によると、高齢者世代にとっては離れて暮らしている子ども家族と暮らすことは必ずしも孤立を解消せず、過疎地域における横のつながりがある、しかし、その横のつながりは資源が少ない中でやむを得ず形成されるような性質のもので、これから更に過疎化、人口減少が進んでいく中で、そうしたつながりをどう形成・維持して行けばよいか、というような話だった。演習の議論では、農業だ、とか、観光だとか、やっぱり難しいんじゃないかとかそういった話でした。

 しかし、本日、参加した「進化する介護、被災地に聞け!」ではそのことと関連する興味深い話題が出ていました。「進化する介護」はいわゆる「重度訪問介護」と呼ばれるサービス類型で介護者となるヘルパーを養成する講座です。言ってみれば、30分とか細切れに入る介護保険のヘルパーに対して、長時間特定の人に張り付くことのできるサービス類型で、重度の難病患者など、長時間滞在することや長時間滞在する中でケアに熟達することが必要としている人へのサービスに適しています。今年から養成事業の制度化が始まり、事業者が受託して研修が始まっているわけですが、もともとは練馬区のALSという神経難病の橋本みさおさんを支える活動の中から生まれてきた介護・地域生活のあり方です(研修を受託しているのは橋本さんたちのグループです)。
 今回の「被災地に聞け!」企画は、いわば、被災地において重度訪問介護のヘルパーを生み出していこうというものです。その中で出ていたのはヘルパーの「地産地消」という話でした。たとえば、福島などにおいて問題が先鋭化するのは、そこでケアを必要とする人たちがいる。その人たちは他に移動したくとも動けない。そうすると、誰かがケアを担っていかなくてはならないが、若い人たちに残れとか来いということはなかなかいえないし、現実的でもない。そういったときに、その地域で生活をしてきて家族の介護もしてきたような高齢層の人たちに重度訪問介護のヘルパー資格を取ってもらって、介護を担ってもらおうというような発想です。この考え方は、長野県の栄村(だったかな?)のげた履きヘルパー事業と似ているかもしれません。自分の家族を介護するのではなく、資格を取って隣の人を介護する。これによって報酬が発生し、また家族介護の閉鎖性のようなものも和らぐというわけです。

 おそらくこうした発想は、理念的に言えば「ベスト」ではないかもしれません。しかし、現在の状況を踏まえた現実的な運動の解としてはこれしかないのだとも思います。過疎地域における関係やつながりの再創造という意味では、ある程度の貨幣を絡ませることで、関係を活性化して行こう、というもので、単に「絆」というだけではない現実感覚があるように思います。サービス経済化(というか保健医療福祉の需要だけが突出していく)という高齢社会にもあっているように思います。現実に、こうした試みがどうなっていくか、これから注目していこうと思います。