共著の本・雑誌

 宣伝的に、目次等も記します。

支援 Vol.2

支援 Vol.2

「『当事者主権』とまとめず」と発刊の辞に謳った本誌第2号の特集は「『当事者』はどこにいる」。当事者言説の担い手となる経験、「当事者主権」のただなかに身を置いた経験、「当事者主権」から距離を取らざるをえない支援の場、「支援者」と「当事者」という区分が失効するような支援の場など、さまざまな経験から「当事者優先」という図式そのものを再考する。
 他に、川村雄次へのロングインタビュー「認知症の本人を描くことをめぐって」、猪飼周平と大野更紗による対談「病院の世紀の終わりに」、渡邉琢と岩橋誠治のトークセッション「支援のかたち/支援のゆくえ」など

【目次】
特集  「当事者」はどこにいる?
 当事者をめぐる揺らぎ──「当事者主権」を再考する  星加良司
 当事者の語りの作られ方──<障害者役割>が圧殺するもの  高森 明
 〈支援者としての親〉再考──「当事者の自立を求める当事者」としての  岡部耕典
 障害を持つ二人の家族と共に  石丸偉丈
 当事者に振り回されながら当事者になる  寺本晃久
 支援者と当事者のあいだ  貴戸理恵
 “めざす”当事者と、“すごす”〈その人〉と──「認知症の当事者」と呼ばれた人とのかかわり合いで思うこと  出口泰靖

ロングインタビュー  認知症の本人を描くことをめぐって──川村雄次に聞く (聞き手/井口高志・田島明子)

対談  病院の世紀の終わりに──医療政策の水先案内人×難病人フィールドワーカー  猪飼周平×大野更紗 (聞き手/三井さよ・星加良司)

トークセッション  支援のかたち/支援のゆくえ  渡邉琢×岩橋誠治

エッセイ
 そのDV支援、だれのため!?  すぎむら なおみ
 「ホームレス状態」における「当事者」とは?──「まちづくり」「地域づくり」の実践から  後藤浩二
 社会福祉社会保障の近未来を考える  寺久保光良
 バルネラブルな知識の交換のために  飯野由里子

支援の現場をたずねて
 1 豊橋サマリヤ会(豊橋市)──路上生活をする人の人生によりそう  土屋葉
 2 NPO法人てくてく/カフェギャラリーてくてく(松本市)──歩く速度で暮らしたい 井口高志
 3 被災地NGO恊働センター(神戸市)──被災した一人ひとりのために  三井さよ

支援の周辺
 1 ケアの現場の「空気」までも  山下幸子
 2 「検証」の先に──当事者に投げかえすということ  三井さよ
 3 「終わりなき」日常を支えるということ  土屋 葉

くまさんのシネマめぐり1 原発に抵抗する人びとが暮らす日常から  好井裕明

ブックレビュー
 ケアの未来はどこへ向かうのか?(『ケアの社会学上野千鶴子著)  末永弘
 現場から立ちあがる「とぼとぼ」の思想 (『介助者たちは、どう生きていくのか』渡邉琢著)  深田耕一郎
 迷いやとまどいを認めることから (『エッチのまわりにあるもの』すぎむらなおみ著)  瀬山紀子
 「その後」ではなく「つづき」を考えるために (『自立と支援の社会学佐藤恵著)  前田拓也
 「どっちつかなさ」という日常 (『老い衰えゆくことの発見』天田城介著)  井口高志

作られてゆく道筋への違和感──『支援VOL2』を閉じるまえに  山下幸子

「障害者総合福祉法」をめぐって  山下幸子・岩橋誠治・寺本晃久・渡邉琢

口絵  「支援」を入れて「マチ」で暮らす  写真・矢部朱希子


ケアのリアリティ―境界を問いなおす (現代社会研究叢書)

ケアのリアリティ―境界を問いなおす (現代社会研究叢書)

紹介
〈ケア〉と呼ばれるなかには、看護、介護、介助、支援、援助、サポートなど、複数の選択肢が含まれている。こうしてケアは、その内部ではさまざまな分割線によって切り分けられると同時に、その外部に対する多層的な境界線によって区分されている。本書は、さまざまな現場でなされているケアの営みから、そこに生じる諸問題を検証しつつ、ケアのもつリアリティと可能性を探究する。

目次
はじめに (鈴木 智之)
第1章 〈場〉の力──ケア行為という発想を超えて(三井 さよ)
第2章 名付けられぬものとしての「介助」── 障害の親をもつ子どものリアリティ(土屋 葉) 
第3章 アイデンティティを保ち作るケア──若年認知症の人の新しい社会関係と自己への移行をめぐって(井口 高志)
第4章 受ける側からみる「介護」──ホームヘルプサービスを利用する高齢者の語りから(齋藤 曉子)
第5章 遠距離介護と同居問題──「なぜ?」はどのように語られるのか(中川 敦)
第6章 悲しむ主体としての看護師──遺族ケアの手前で考えるべきこと(鷹田 佳典)
第7章 未決の問いとしてのがん告知──その後を生きる患者の語りから(田代 志門)
第8章 死にゆこうとする身体のために──応答としてのケアとその臨界(鈴木 智之)
あとがき 
人名・事項索引
執筆者紹介

特集 東日本大震災と福祉社会の課題――〈交響〉と〈公共〉の臨界

特集のねらい:〈交響〉と〈公共〉の臨界(岡部耕典)
〈災害時経済〉とモラル・エコノミー試論(似田貝香門)
セーフティネット構造と震災対策の課題――制度の隙間に焦点をあてて(鎮目真人)
キャッシュ・フォー・ワークとワークフェア小林勇人)
東日本大震災男女共同参画――「人間の復興」に向けて(下夷美幸)
後ろに付いて拾っていくこと+すこし――震災と障害者病者関連・中間報告(立岩真也
二つの震災と市民セクターの再編――3.11被災者支援に刻まれた「統治の転換」の影をめぐって(仁平典宏)
◆自由論文
医療の論理が認知症ケアにもたらすもの――あるデイサービスの試みを事例にした探索的研究(井口高志)
ひろば型子育て支援における「当事者性」と「専門性」――対称性を確保するための非対称な工夫(松木洋人)
◆書 評
中嶋和夫監修、尹靖水、近藤理恵編著『多様な家族時代における新しい福祉モデルの国際比較研究』(和泉広恵)
佐藤恵『自立と支援の社会学』(土屋葉)
「支援」編集委員会編『支援』Vol.1(天田城介)
白波瀬佐和子『生き方の不平等』(熊本理抄)
須田木綿子『対人サービスの民営化』(山下順子
仁平典宏『「ボランティア」の誕生と終焉』(平野寛弥)
松繁卓哉『「患者中心の医療」という言説』(金子雅彦)
松村直道『介護予防支援と福祉コミュニティ』(金貞任)
山田昌弘編著『「婚活」現象の社会学』(益田仁)

  • 20120531『インターナショナルナーシングレビュー 35/3 2012年臨時増刊号 看護における社会学的アプローチと実践』日本看護協会出版会

―目次―
特集 看護における社会学的アプローチと実践
第1章:看護と社会学?双方からのアプローチ
 [1]看護学研究者の社会学的アプローチ
  看護学研究と社会学
  健康社会学とヘルスプロモーション
  急性期看護への社会学的アプローチ
  若年認知症者へのケアの記述に会話分析を応用して
  産業・労働・職業に関する社会学的アプローチと看護学への示唆
 [2]社会学研究者の「ケア」へのアプローチ
  カルチュラルプローブを使った高齢者施設でのケアと
   インクルーシブデザインの試み
   (「尊厳とデザイン」プロジェクト報告)  
  認知症の人を介護する家族とその支援から学ぶこと 
  遺伝相談の医療化再考  
  能動的な「生活者」をケアする:ハンセン病療養所の
   看護ケアを事例として 
  会話についての会話を用いたケアのケア:
   リフレクティング・プロセスの臨床社会学 
  度化・複雑化する災害とナースプラクティショナー:
   アメリカの現状と今後の展望 
  がん闘病記の社会学:患者が主体的に生きるために 
  健康と病の「知」の社会学 
  看護の質を評価する:看護学は何を社会に伝えるべきか? 
  日本保健医療社会学会看護・ケア研究部会での学際的交流 

第2章:「社会」へのアクション
 [1]座談会
  当事者みんなで守る健康:社会に開かれた看護をめざして 
 [2]特別寄稿
  社会が求める看護に対するニーズの変化:
   看護師のアイデンティティ再考  
 [3]これからの社会と看護・医療の関係を考える
  メディアを介した現場からの情報発信  
  社会的共通資本としての医療の復興をめざして  
  障害や疾患をもつ医療従事者の歴史と展望  
  アメリカでナースプラクティショナーが果たしている役割と
   日本でのその可能性 
  病院・施設と在宅のはざまで生じる社会的問題と退院支援 
  東日本大震災における被災地復興に向けた保健師の取り組み 
  災害におけるさまざまなコミュニティとの相互作用 
  病を得て再び生きるということ 

第3章:社会学を学ぶ
 社会学・医療社会学を知るための33冊/さらに読みたい+2冊