『劇場版 笑ってさよなら 四畳半下請け工場の日々』

 京都みなみ会館初体験。スクリーンに向かって登り坂になっている観客席ってはじめてだが、確かに見やすいかも。映画館の雰囲気ももう東京にはあんな感じのミニシアターはない、という感じ(辛うじて、早稲田松竹とかか、しかし、あそこは二番館だ。下高井戸シネマも近いけど、みなみ会館の方がディープな感じというか)。
 映画はトヨタの4次下請けの工場(というか、夫が経営する工場の倉庫を間借りした内職的仕事)を、そこの事業主である女性が廃業し、介護職に転じていくまでを描いたドキュメンタリー。
 工場には、主人公含め3人が働いているが、いずれも主婦。というか、部品を家庭とは違う場で加工(手作業での単純組み立て)しているのだが、あくまでも彼女らは「労働者」ではなく「主婦」であり、その部品がどこで使われるのか彼女たちには分からない。
 そうした範囲での仕事の可視性の中で、主人公は、この仕事を続けても先がないという判断をし、仕事をたたむことを決意する。
 トヨタカンバン方式を支えるために上の会社からは、突然に発注がきたり、車が売れない時にはほとんど注文がこなかったりする。そうした不規則な状況に臨機応変に対応できなければならず、また、不良品を出さない正確な仕事が要求される。その仕事を見ていて、以前見学に行ってた障害者の授産施設の下請け仕事のことを思い出したが、主婦というカテゴリーの人たちは、会社にとっては、そうした仕事をこなす主体として「最適」であり続けてきたのだろう、と思った。
 最後に、こうした工場の下請け労働から介護というサービス労働に転じていくわけだが、その変化は典型的である。決してプロテスト的なメッセージを全面に出した作品ではないが、主婦が、どのように社会経済システムを支えてきたのかが分かるいい作品だと思った。

http://waratte-sayonara.jp/index.htm