ホームレス・生活費用
講義タイトルをどんな風にしてよいのか分からないが、とりあえず、貧困、生活保護、自立ということをキーワードに考えていく。この分野は、本というよりも、昨今の若手社会学者の論文や、映像資料に良いものが多い気がする。映像は、「あしがらさん」とか、フジテレビの「Nonfix ビッグイシュー」とか。日本寄場学会の雑誌もあるし。
しかし、社会福祉との関連で第一に読むべきは岩田正美の著作だろう。
この本は面白かった。
- 作者: 岩田正美
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2000/03/17
- メディア: 単行本
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読んだことは無いが、主著でしょう。
戦後社会福祉の展開と大都市最底辺 (MINERVA社会福祉叢書)
- 作者: 岩田正美
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 1995/08
- メディア: ハードカバー
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岩田さんは、他に、介護費用や、家計調査などの研究をしている。生活費用や、それと関連した貧困の話は、中川清さんの生活構造論とか、もっと(専門の人たちの外にも)注目されてよい面白い研究だと思う。「社会化」という観点から見ると、家事労働論ともつながりが深いだろう。
以上のような研究はホームレスには一見関係ないように見えるが、ホームレスという社会的表象が、社会の生産・再生産プロセスの中で、表面に現れてくる「点」だととらえるならば、彼/彼女らを生み出すメカニズムを考える研究として重要だろう。確か、『ソシオロジ』で、妻木さんという人が、これらの議論を援用して、ホームレスのリアリティに迫るというような論文を書いていたような気がする。かなり面白かった。
しかし、ホームレスを講義で取り上げるのは、なかなか難しい。良い意味でも悪い意味でも、とても興味をひく「対象」らしく、学生の語る量は増える。しかし、その人の背後にあるメカニズムにまで、目を向けるようになる学生は少ない(観念的に社会思想や政党の言の受け売りを語る学生は結構いるが)。映像資料が強烈に面白いだけに。
まあ、障害者も、高齢者も、女性も、難しいのにかわりは無いか。
次は、一昨年使った本や、そのほかの研究書を見てみよう。