メモ

図書館で『思想』の最新号を。目当ては山本卓氏の論文。氏のことはずっと前から知っていたが、論文をちゃんと読むのははじめて。すごい力作。ティトマスと優生学や、社会医学との関係を追いながら、福祉国家における社会政策を行う論理のあり方を見ていくというような内容。長い論文なので、かなり斜め読みをしてしまった。もう一度きちんと読む必要。イギリスの医療社会学・公衆衛生学、社会政策論を理解する上でも示唆を与えてくれる論文なのではないかという感。
あとは山脇先生論文を読む。現実科学としての政策科学と規範理論の統合が必要、公共哲学万歳といった話を、ヘーゲルからデュルケム、ウェーバーなどを経由して、ロールズ厚生経済学などの話を交えて。20分で分かる社会科学史(社会哲学史)という感。こういうものなのでしょう。

思想の言葉 道旗泰三 (2)
トランスディシプリンとしての哲学の復権
  ──分断化された社会科学の架橋のために―― 山脇直司 (6)
ユダヤ人とフランス人
  ─エマニュエル・ベルルにみる自己了解の仕組みの自覚的変容― 有田英也 (29)
1930-40年代の英国優生学協会とティトマス
  ──福祉国家における統合と排除―― 山本 卓 (71)
ミルトンと「市民的自由の精神」
  ――生誕400年後,今に生きる思想―― 田中 浩 (115)
谷川雁の共同体論とサークル構想(下) 水溜真由美 (129)

「グーグル裁判」の波紋と本の未来 福井健策 (143)
作者の権利,読者の権利,そして複製の権利 宮下志朗 (147)
〈書物〉の不自由さについて
  ─―〈カード〉の時代における人文知と物質性―― 長谷川 一 (157)
書物のデジタル化
  ─グーテンベルクからグーグルへ ダーントン論文への重ね書き― 郄宮利行 (166)
グーグルと書物の未来 ロバート・ダーントン (173)