ふと【精神医学】

精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)

精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)

したがって、私は、自分の精神医学の枠組みの全体を明らかにできない。それは、自分にも見通せていない。そういうものが明確にできれば、非常に楽になるのかもしれないし、逆に腑抜けのようになるかもしれない。どちらになるかが分からないから、私には、明確にしようという努力ができない。私にとって、私の精神医学は、私の前にあるのではなくて、私の背後にあるような感覚である。
 そのような精神科医は、(一)何も書かないか、(二)症例報告を書くか、(三)エッセイかアフォリズムを書くか、であろう(14)。

私は、中井久夫を「思想」の方から知ったのだが、「臨床」を重視し、多くの人に信頼されている人のようだ。


彷徨記―狂気を担って

彷徨記―狂気を担って

狂気の価値 (朝日選書 142)

狂気の価値 (朝日選書 142)

先日知人と話をしていて知った精神科医西丸四方(元信州大学教授)。ヤスパースの翻訳家であったり、島崎藤村の親戚であったりもする。1冊目の本は、来し方を振り返ったものだが、結構すごいこと(例:精神を病んだ医学生に診断をつけて患者として生活保障をしたとか)が書かれているようだ(未入手)。2冊目のものは入手。下記のサイト(医学都市伝説)に詳しい。西丸は、自身の患者であった草間彌生をアーティストとして見出した。精神医療の世界は奥が深い。

http://med-legend.com/column/etc4.html