遠征用

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

 遅ればせながら読み始める。普通に面白いエッセイ。ネットでの感想や論争をまとめておこう。

 まだ全部読んでおらずいくつかの書評を見ただけなので、何とも言えないが、岩井克人貨幣論のロジックが援用されているように見える点と、(私もよく知らないが)大衆文化論(ベンヤミンとかフランクフルト学派)みたいな議論を知っているのかどうかといった点が気になるところ。

 ベネディクト・アンダーソンについてはあとがきで新訳が出たことを執筆中に知ったとあるが、旧訳を経由して踏まえているのかどうかよく分からん(失礼、3章の肴がこの本でした)。まあ、作家のエッセイであるから、踏まえていないからいかんということではないのだけど、だからなれば、使用価値と交換価値みたいな論の骨格が見えてしまうのは美しくないのでは、と。まだ一章しか読んでないけど、一章が一番面白く美しい文章だったとならぬよう祈る。

 何となく文芸評論家が小説を書くという方向の動きは良いような気がするけど、小説家が評論を書くのってピンとこないところがある。