購入本

  • 大井玄1993『終末期医療?――死の前のクオリティ・オブ・ライフ』弘文堂

 著者の老いに対する関心と態度は、長野県の佐久地域の高齢者の在宅診療と、沖縄県の痴呆の疫学調査で形成されたということは、『痴呆の哲学』でも書かれていたが、この本では、その様子がより詳しく書かれている。
 本筋からははずれるが、佐久地域の健診活動について、新たな発見あり。「佐久総合病院の活動」という認識しかなかったのだが、それとは違う流れのものもあったようだ。
 この本では、佐久市国保浅間総合病院のセンター長の吉沢国雄という人の下で、在宅診療活動を行ったことについて書かれている。疫学的な観点から、この種のプライマリー・ヘルス・ケア活動が、佐久地域における脳卒中患者を減らしたのかどうか、という検討を行い、他地域との減少率の比較などから結論としてこうした活動がおおきな効果をもたらしたとしている。
 その上で、吉沢を中心とした活動について「その[=佐久総合病院]おおきな陰に隠されてわりをくっているが、吉沢の草の根的地域保健活動がなければ、佐久市の度肝を抜かれるような脳卒中の死亡数を減らすといった改善はおこらなかった」と述べている。一方で、若月らの活動に対しては、「八千穂村を中心とした彼の地域保健活動は費用と効果の面からいうならば疑問も残るかもしれない」としている(17)。

  • 大井玄2005『いのちをもてなす――環境と医療の現場から』みすず書房

 一応、一番新しい本か。しかし、この著者は使い回しが多い。

 佐久総合病院の若月俊一の評伝を書いた芥川賞作家の医師による小説。

  • 山崎喜比古・瀬戸信一郎編『HIV感染被害者の生存・生活・人生――当事者参加型リサーチから』有信堂

 来年の薬害関連の授業の予習用として。