逃避
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 文庫
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加藤典洋があとがきを書いていて、2年前に応用倫理学プログラムか何かで来ていた時の、沢木、村上春樹、阿部和重、(あと寄生獣)をつないで論じた講義について触れていた。「関係の原的負荷」とか何とか言っていたっけ?
これは一種の介護体験記でもありますね。父親の「呆け」に対する沢木の率直な心情の吐露や、アンビバレントな心情が、さすが分かりやすくきれいな表現で記されていて、授業の事例などにも使えそうです。
これほど題材たることができる父親がすごいのか、父親と沢木の関係性がすごいのか、「無名」を読ませるテーマにしてしまう沢木の力量がすごいのか。映画評以外は、『テロルの決算』に続き2冊目だが、他の作品も読んでみようか。(06/09/18)
- 作者: 保阪正康
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 新書
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北里柴三郎は最も権威のある東大第三内科の教授の怒りを買って追い出されたそうだ。野口英世も、口では業績をたたえながら、日本でのポスト獲得からは排除され、海外で活動するしかなかったそうだ。てなわけで、東大医学部について、結構な分量を裂いて書いています。大学闘争時の精神科医局の自主管理の話とかも、ちょこっと。