ケアの向こう側

ケアの向こう側―看護職が直面する道徳的・倫理的矛盾

ケアの向こう側―看護職が直面する道徳的・倫理的矛盾

 久々にこの手のフィールドに基づく研究を読んでみる。アメリカの社会学者ってこういう仕事はとても良いと思う。立岩さんも書いていたが、とにかく徹底的に調べて書いてしまう。
 とは言っても、アメリカの社会学者が偉いというか、社会学業界に、そういうことができるお金と雰囲気と、制度があるからだと思うが。日本のゴフマンは、朝日新聞の大熊一夫だもんね。

 こんな内容。

本書は、医療社会学の立場から、15年近くにわたる全米の病院のフィールドワークと、100人を超える現役ナースへのインタビューをもとに、病院という組織の中でナースたちが日常業務において直面する道徳的・倫理的矛盾をどのように捉え、対処しているかを明らかにし、米国で優れた医療社会学の研究業績に与えられるエリオット・フリードソン賞を受賞した名著である。病院という大きな組織の中でナースが拠って立つ基盤はどこにあるのかを自ずと理解させてくれる傑作であると同時に、21世紀初頭の病院が抱える病巣を露わにした社会への警鐘となる問題作である。

ところで、著者はこんな人らしい。

チャンブリス,ダニエル・F.
“学生と同僚教師・研究者に対して模範的なメンター”であることで研究補助金が与えられるシドニー・ワータイマー賞受賞教授で、現在、二〇年間にわたって教鞭をとるニューヨーク州クリントンのハミルトン大学において、社会学科の教授および学科長を務めている。1982年にエール大学にて博士号を取得し、アメリ社会学会(ASA)より重要な賞を二つ受賞している。1989年に「優れた組織性とオリンピック競技者」に関する研究でASA理論賞を受賞し、1998年に医療社会学の分野における研究の成果を著した『ケアの向こう側』でエリオト・フリードソン賞を受賞した。現在、組織における、特に大学という組織における秀逸さと凡庸さに関する研究を行っている

最後の大学組織の研究の展開が一番興味深かったりして。