社会学教育

 別学部の先生から,2分冊の科研費報告書をいただく。社会学者は誰に何を教えどんな人を創っていくのか 第Ⅰ分冊:社会学者調査・教育プログラム研究」社会学者は誰に何を教えどんな人を創っていくのか 第Ⅱ分冊:社会学教育に関する学生調査」
 興味深いのは,第Ⅰ分冊。第一部が社会学者による社会学者へのインタビューなのだが,インタビュイーとして,森岡清美,鎌田とし子,塩原勉,吉田民人,細谷繡,庄司興吉,山崎達彦,野村一夫永田えり子

 微妙に同期に言及していたり,師匠を批判していたり,おもしろい。
 庄司さんのインタビューはこれまで色々な場で聞いてきたことのまとめだったが,吉田民人さんの話はおもしろかった。

 制度上の恩師は臼井先生でしたが,学問上の,そして事実上の恩師は作田啓一先生でした。これは,自分自身が院生を指導するようになって気づいたことですが,院生たちは,私のアイディアを継承して発展させるのだが,それがもともと吉田のアイデアから来ていることを忘れている。ゼミの討論のなかでのことなので,こちらはかれらにアイデアを与えていると思っているのに,かれらはそうは思わない。それと同じような関係が,かつての自分と作田先生とのあいだにあったのかもしれないと思います。つまり,作田先生からもらったヒントを,それと知らずに自分のアイデアだと思って展開してきたということが。このことを,作田先生が京都大学を退官されるときのパーティで申し上げたら,先生は笑っておられましたけどね。

 ところで,いただいた先生から,「あなたの指導教官は,『最初講義』でますますお元気ですごいわねえ」と言われた。…うむ。報告書に興味のある方はどうぞ。