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市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦

市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦

 著者の一人にいただく。ぽんぽこの活動は,行政,市場,地域など様々な領域にまたがり,その領域で交換されているメディアとは違う付加価値を持ち込むことで,その領域における可能性を拡大していくということなのだという印象を受けた。たとえば,市場領域には,「公共性や中立」,行政領域には「商品価値」など。

 中心人物の富永さんは,組織論に興味を持っていたという。ピラミッド型組織ではない組織を,可能にするものとしてインターネットとNPO法に出会ったと言っていた。こうした活動をしている人はその人独自の社会理論を持っていて,実践によってそれを裏付けているという感じ(で言っていることを理解しやすい)なので,とても話が分かりやすい。
 もちろん内容自体は,『ノイマンの夢』に書かれているような,いわゆる情報社会論(技術が社会を変える)の繰り返しと言うこともできる。しかし,(本の記述ではなく)話を聞いた限りだと,新しいフラット型の組織を夢・理想として語っているというよりは,たとえば,衛星による兵士個々人の管理という例を出すなど,個々人を管理する権力との関係で成立する組織のあり方,という,現実認識として語っている感じ。その意味で,人間が,遺伝子情報として把握され,活用されるがゆえに,病人は力を持ち,意義申し立ての集団となっていけるというような小泉義之の描く方向性と形式としては似ているかも,と思った。

 著者の一人から話を聞くことで,理解度が深まったが,本自体もとても読みやすい感じ。本を出してくれてお金を払おうとしたら手持ちがなくて,結局もらうことになった。……私は,社会人としてちゃんとやっていけるのでしょうか。