いただく【社会学】【医療人類学】

  • 浮ヶ谷幸代(研究代表者)2011『生老病死をめぐる現場に向き合う専門化との対話(国立民族学博物館共同研究「サファリングとケアの人類学的研究」(2009年度−2012年度)研究成果中間報告書)』

いのちとライフコースの社会学

いのちとライフコースの社会学

ありがとうございます。

弘文堂のページより。むっちゃたくさんの人が書いてますな。
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/55149.html

解説
誕生から死に至るまで、ひとの一生に起こる身近で切実なテーマを通して社会学を学ぶ

 人間の生命や生涯を、具体的な事例を通して社会関係・社会構造・時代背景のなかで考える。社会学の今日的エッセンスが、コンパクトにまとめられた1冊。誰もが関心をもって学べます。

主要目次
序 いのちとライフコースの社会学――2011年の日本において   藤村正之
 1…………〈生〉とグローバルが直結する時代
 2…………東日本大震災のただ中で――4つの事態の連動として
 3…………大災害と〈生〉とのかかわり
 4…………本書の位置づけと構成

I 生命
第1章 医療の社会学   樫田美雄
 1…………対象と方法と発見――社会としての病院、医療の場としての家庭
  1-1. 社会としての病院
  1-2. 病院内フィールドワークからの発見
  1-3. 医療の場としての家庭
  1-4. 家庭内フィールドワークからの発見
 2…………健康増進法と医療の現在――現代社会と医療
  2-1. 医療とは何か
  2-2. 健康増進法の意味
  2-3. メタボ検診の実際
  2-4. 高齢化の進展・疾病構造の変化
 3…………まとめ――社会変動の最前線としての医療

第2章 出産の社会学   白井千晶
 1…………はじめに
 2…………科学的まなざしの芽生え:江戸後期
 3…………国家による管理
 4…………出産場所の施設化
 5…………出産の消費化
 6…………グローバルな画一化
 7…………断片化する人生経験:出産の社会学を手がかりに

Column 命名社会学   片瀬一男

第3章 病いの社会学   株本千鶴
 1…………疾患としての病い
  1-1.生物医学的モデルからみる病人
  1-2.逸脱行動の生物医学的な説明
  1-3.病いと社会的要因
 2…………社会が病いや苦しみを生む?
  2-1.社会の医療化が生む病い
  2-2.癌の社会的イメージが生む苦しみ
  2-3.エイズの社会的イメージが生む苦しみ
 3…………病いを経験するということ
  3-1.闘病記による病いの自己表現
  3-2.病いの経験の物語 
  3-3.病いを/と生きる

Column エイジズム   小坂啓史

第4章 先端医療の社会学   皆吉淳平
 1…………「先端医療」とは何か
 2…………先端医療の定着と衰退
  2-1.かつての先端医療と現在
  2-2.社会に定着した先端医療
  2-3.衰退した先端医療
  2-4.先端医療と実験
 3…………先端医療の社会的側面
  3-1.「最新の医療」と先端医療
  3-2.体外受精の先端性
  3-3.生殖技術のさらなる先端性
 4…………臓器移植と生/死の境界
  4-1.臓器移植とドナーの存在
  4-2.「脳死」問題と生/死の境界
  4-3.臓器移植の先端性と社会
 5…………先端医療とその社会

第5章 生命保険の社会学――生命保険の買い取り業と生前給付型生命保険をめぐって   久木元真吾 
 1…………生命保険と「古典的な生命保険像」
 2…………生命保険の買い取り業の出現――アメリカ合衆国
 3…………古典的な生命保険像の二つの条件
 4…………末期疾病型の生前給付保険の登場――アメリカ合衆国
 5…………末期疾病型の生前給付型生命保険の導入――日本
 6…………生命保険の買い取り業をめぐる展開――日本
 7…………生命(保険)と社会の関係

第6章 葬送の社会学――ライフエンディング・ステージの創出と葬儀における消費   玉川貴子
 1…………はじめに
 2…………死にかかわる社会的な変化
  2-1. 死亡人口の年齢的な偏りと家族の変化
  2-2. 先行する社会関係と葬儀――地域的な相互扶助とその変化
 3…………死にかかわるサービスと政策的な視点
  3-1. 葬儀消費の特徴――死に対する価値判断
  3-2. 経産省におけるライフエンド調査という営み
  3-3. 死の前後における消費主体と消費者意識のずれ
  3-4. 「死」から「生」の中のリスクへ
 4…………リスクと消費
 5…………おわりに

Column 献体献体供養   樫田美雄

第7章 看護職の仕事   三井さよ
 1…………はじめに
 2…………患者の状況と専門職制度
 3…………専門職の枠からはみ出るもの――看護職の葛藤や迷い
 4…………相互行為としてのケア
 5…………おわりに

Column 介護労働   石田健太郎

II 生涯
第8章 ライフコース論の現在   嶋粼尚子
 1…………21世紀を生きる私たち
  1-1.少子高齢化と生涯時間の長期化
  1-2.私たちが直面している社会の変化
  1-3.ライフコース論の登場
 2…………ライフコース社会学の視点
  2-1.多元的時間枠組み
  2-2.個人の人生と社会とのインターフェース:年齢
 3…………ライフコース論の現在
  3-1.ミクロ社会学的接近
  3-2.ライフコース論の課題

Column 自分史   小林多寿子

第9章 家族写真と人生の物語   角田隆一
 1…………家族写真と物語としての人生
 2…………人生をノスタルジックに物語化する家族写真
 3…………近代的制度としての家族写真の物語
  3-1.制度としての家族写真の物語
  3-2.近代における写真と家族の物語の遭遇
 4…………家族写真と人生の物語における現代的様相
  4-1.家族写真と物語の個人化
  4-2.記号化する物語とスライドする人生
 5…………家族写真と人生の物語・再考

Column 貧困の世代的再生産   小渕高志

第10章 音楽と世代のライフコース   南田勝也
 1…………音楽に夢中になる世代
  1-1.音楽消費の中心は10代後半から20代
  1-2.音楽に熱中する人生上の時期
 2…………若者層が好む音楽ジャンル
  2-1.音楽ジャンルの80年代
  2-2.音楽ジャンルの90年代
  2-3.音楽ジャンルの00年代
  2-4.音楽ジャンルの現在
 3…………コーホートとしての音楽ジャンル
  3-1.聴きつづけられる青年期の音楽
  3-2.「演歌」の言説と現在
  3-3.音楽とともに年を取る
 4…………音楽のテイスト

Column 団塊世代団塊ジュニア世代とライフスタイル   二方龍紀

第11章 年金と世代   田渕六郎
 1…………はじめに
 2…………年金とライフサイクル・ライフコース
 3…………年金制度とそのバリエーション
 4…………年金の「再分配」機能
 5…………世代会計の視点
 6…………世代会計の問題点
 7…………おわりに

Column 贈与関係と時間幅   山本 馨

第12章 最終講義の社会学――知識人の老後   藤村正之
 1…………知識人と知の変容
 2…………大学教員の就職と退職
 3…………「最終講義」という表現スタイル
 4…………最終講義――清水幾太郎オーギュスト・コント
 5…………最後の授業――阿部謹也「自画像の社会史」
 6…………知の世代リレー

第13章 メンタルヘルスケア社会学   山田陽子
 1…………社会現象としてのメンタルヘルスケア
  1-1.若者言葉としての「ウツ」
  1-2. 鬱病患者数の増加
  1-3. メンタルヘルスケアを社会現象として考察する
 2…………過労自殺という物語
  2-1.電通事件――「心の健康リスク」の発見
  2-2.「心の健康」問題としての労働問題
 3…………ビジネスパーソンメンタルヘルスケアをめぐる専門職
  3-1. 産業医
  3-2. メンタルヘルスケアのフロンティア
  3-3. 経営コストとしての鬱病と自殺
 4…………人的資源管理の医療化
  4-1. 「怠慢社員」から「鬱病患者」へ
  4-2. インフォーマル・グループの空洞化とメンタルヘルスケア
  4-3. 「仕事=自己実現」の文化とメンタルヘルスケア
 5…………むすびに 

Column 不登校という経験   朝倉景樹

III 体験を生きる
第14章 戦争体験の社会史   野上 元
 1…………はじめに
 2…………戦争体験とは何か?
  2-1.ライフコースと戦争体験
  2-2.生き延びた者による語り
  2-3.国家という共同体と個人の戦争体験
  2-4.戦争体験の共有・継承と社会/国家
 3…………戦争体験の「社会史」
  3-1.言説としての「戦争体験」
  3-2.総力戦と「戦争体験」
  3-3.「市民の戦争体験」の卓越
 4…………「戦争体験の社会学」の課題と可能性

Column 歴史と記憶   翁川景子

第15章 低成長時代を生きる若者たち――〈満足する若者〉の可能性とその行方   岩田 考
 1…………はじめに――不幸になる日本人と幸福な若者?
 2…………若者は何に満足しているのか?――生活満足度の規定要因
  2-1.経済的豊かさと幸福感
  2-2.多くを望まない若者たち?
  2-3.若者は何に満足しているのか?
 3…………〈つながり〉の可能性
  3-1. 若者は内閉化しているのか?――濃密化する友人関係
  3-2.重層化する〈つながり〉の可能性
 4…………おわりに――〈満足する若者〉の行方

Column 震災体験   遠藤惠子

第16章 わたしが「あなたと〈ある〉」ために――認知症の人の「語り   出口泰靖
 1…………はじめに
 2…………「認知症」とされる人が「語る」
  2-1.本人が「つぶやく」
  2-2.「語り」はじめた「認知症の本人」
  2-3.本人が「もの忘れ」を恥じる――「そういうことがあったんですか、格好悪いですね」
 3…………「語れなくさせられてきた」人たち――記憶する能力を重んじ、認知症を忌避する社会
  3-1.「語ることができない」とみなされてきた人たち
  3-2.認知症フォビア――認知症を忌避する社会
  3-3.「病識の欠如」という思い込み
  3-4.「語り」と「同一性のある自己」と「記憶」
 4…………聴き手の存在――「語る」こととは「聴く」こと 
  4-1.〈聴き手〉という存在の切実な必要さ
  4-2. 相手との相互行為で生成される「記憶」「自己」そして「語り」 
  4-3.本人と聴き手との共同作業である“つぶやき”
 5…………わたしが〈わたしである〉ために――「認知症」と〈なる〉、〈される〉ことによる存在証明の危機
  5-1.身心状態の変化に対する不安と恐怖――「花に話しかけていた」
  5-2.「社会」とつながりたい――「認知症」とされる人が「語る」理由の一つ
  5-3.「語る」ことではじめて「当事者」となる
  5-4.「認知症」と〈なる〉ことによる存在証明の危機
  5-5.「認知症」と〈される〉ことによる存在証明の危機
 6…………わたしが〈あなたとある〉ために 
  6-1.最期まで活かそうとする「語り」
  6-2.「語りえぬ」時――「ある」という〈存在そのもの〉
  6-3.わたしが〈あなたとある〉ために

Column 中途障害   玉置佑介

第17章 ハンセン病者の半生――ある盲人の経験に見る身体と共同性   坂田勝彦
 1…………はじめに
  1-1. ハンセン病療養所で盲人として生きるということ
  1-2. 身体から開かれる共同性
 2…………二重の疎外――ハンセン病療養所における「失明」の負荷
 3…………療養所の内外で生起する共同性
  3-1. 障害を起点とした繋がりを模索する試み――「盲人会」の活動から
  3-2. 共鳴する身体――「青い鳥楽団」の活動を中心に
   3-2-1. 「青い鳥楽団」の活動と試行錯誤
   3-2-2.  園外で初めて行われた演奏会でのある出来事
 4…………おわりに

IV 社会背景
第18章 少子高齢化社会   岩澤美帆
 1…………当たり前ではない私たちの「生」
 2…………死の脅威から人口爆発、そして少子化
 3…………少子化の定義、経過、要因
 4…………超低出生力
 5…………人口転換・少子化による高齢化
 6…………死亡率の改善と長寿化

Column 福祉国家   金 成垣

第19章 健康化社会と不安   柄本三代子
 1…………不安な社会を生きている
 2…………健康化する社会について考えてみよう
 3…………ライフコース全般に広がる不安感
 4…………社会学者たちはこのあいまいな不安と不確実性をどうとらえたか
 5…………合理的判断の錯綜

Column 3・11以後の身体の社会学に向けて   山本敦久