いただく【社会学】【医療人類学】
- 作者: 藤村正之
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2011/10/01
- メディア: 単行本
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ありがとうございます。
弘文堂のページより。むっちゃたくさんの人が書いてますな。
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/55149.html
解説
誕生から死に至るまで、ひとの一生に起こる身近で切実なテーマを通して社会学を学ぶ人間の生命や生涯を、具体的な事例を通して社会関係・社会構造・時代背景のなかで考える。社会学の今日的エッセンスが、コンパクトにまとめられた1冊。誰もが関心をもって学べます。
主要目次
序 いのちとライフコースの社会学――2011年の日本において 藤村正之
1…………〈生〉とグローバルが直結する時代
2…………東日本大震災のただ中で――4つの事態の連動として
3…………大災害と〈生〉とのかかわり
4…………本書の位置づけと構成I 生命
第1章 医療の社会学 樫田美雄
1…………対象と方法と発見――社会としての病院、医療の場としての家庭
1-1. 社会としての病院
1-2. 病院内フィールドワークからの発見
1-3. 医療の場としての家庭
1-4. 家庭内フィールドワークからの発見
2…………健康増進法と医療の現在――現代社会と医療
2-1. 医療とは何か
2-2. 健康増進法の意味
2-3. メタボ検診の実際
2-4. 高齢化の進展・疾病構造の変化
3…………まとめ――社会変動の最前線としての医療第2章 出産の社会学 白井千晶
1…………はじめに
2…………科学的まなざしの芽生え:江戸後期
3…………国家による管理
4…………出産場所の施設化
5…………出産の消費化
6…………グローバルな画一化
7…………断片化する人生経験:出産の社会学を手がかりに第3章 病いの社会学 株本千鶴
1…………疾患としての病い
1-1.生物医学的モデルからみる病人
1-2.逸脱行動の生物医学的な説明
1-3.病いと社会的要因
2…………社会が病いや苦しみを生む?
2-1.社会の医療化が生む病い
2-2.癌の社会的イメージが生む苦しみ
2-3.エイズの社会的イメージが生む苦しみ
3…………病いを経験するということ
3-1.闘病記による病いの自己表現
3-2.病いの経験の物語
3-3.病いを/と生きるColumn エイジズム 小坂啓史
第4章 先端医療の社会学 皆吉淳平
1…………「先端医療」とは何か
2…………先端医療の定着と衰退
2-1.かつての先端医療と現在
2-2.社会に定着した先端医療
2-3.衰退した先端医療
2-4.先端医療と実験
3…………先端医療の社会的側面
3-1.「最新の医療」と先端医療
3-2.体外受精の先端性
3-3.生殖技術のさらなる先端性
4…………臓器移植と生/死の境界
4-1.臓器移植とドナーの存在
4-2.「脳死」問題と生/死の境界
4-3.臓器移植の先端性と社会
5…………先端医療とその社会第5章 生命保険の社会学――生命保険の買い取り業と生前給付型生命保険をめぐって 久木元真吾
1…………生命保険と「古典的な生命保険像」
2…………生命保険の買い取り業の出現――アメリカ合衆国
3…………古典的な生命保険像の二つの条件
4…………末期疾病型の生前給付保険の登場――アメリカ合衆国
5…………末期疾病型の生前給付型生命保険の導入――日本
6…………生命保険の買い取り業をめぐる展開――日本
7…………生命(保険)と社会の関係第6章 葬送の社会学――ライフエンディング・ステージの創出と葬儀における消費 玉川貴子
1…………はじめに
2…………死にかかわる社会的な変化
2-1. 死亡人口の年齢的な偏りと家族の変化
2-2. 先行する社会関係と葬儀――地域的な相互扶助とその変化
3…………死にかかわるサービスと政策的な視点
3-1. 葬儀消費の特徴――死に対する価値判断
3-2. 経産省におけるライフエンド調査という営み
3-3. 死の前後における消費主体と消費者意識のずれ
3-4. 「死」から「生」の中のリスクへ
4…………リスクと消費
5…………おわりに第7章 看護職の仕事 三井さよ
1…………はじめに
2…………患者の状況と専門職制度
3…………専門職の枠からはみ出るもの――看護職の葛藤や迷い
4…………相互行為としてのケア
5…………おわりにColumn 介護労働 石田健太郎
II 生涯
第8章 ライフコース論の現在 嶋粼尚子
1…………21世紀を生きる私たち
1-1.少子高齢化と生涯時間の長期化
1-2.私たちが直面している社会の変化
1-3.ライフコース論の登場
2…………ライフコース社会学の視点
2-1.多元的時間枠組み
2-2.個人の人生と社会とのインターフェース:年齢
3…………ライフコース論の現在
3-1.ミクロ社会学的接近
3-2.ライフコース論の課題Column 自分史 小林多寿子
第9章 家族写真と人生の物語 角田隆一
1…………家族写真と物語としての人生
2…………人生をノスタルジックに物語化する家族写真
3…………近代的制度としての家族写真の物語
3-1.制度としての家族写真の物語
3-2.近代における写真と家族の物語の遭遇
4…………家族写真と人生の物語における現代的様相
4-1.家族写真と物語の個人化
4-2.記号化する物語とスライドする人生
5…………家族写真と人生の物語・再考Column 貧困の世代的再生産 小渕高志
第10章 音楽と世代のライフコース 南田勝也
1…………音楽に夢中になる世代
1-1.音楽消費の中心は10代後半から20代
1-2.音楽に熱中する人生上の時期
2…………若者層が好む音楽ジャンル
2-1.音楽ジャンルの80年代
2-2.音楽ジャンルの90年代
2-3.音楽ジャンルの00年代
2-4.音楽ジャンルの現在
3…………コーホートとしての音楽ジャンル
3-1.聴きつづけられる青年期の音楽
3-2.「演歌」の言説と現在
3-3.音楽とともに年を取る
4…………音楽のテイストColumn 団塊世代・団塊ジュニア世代とライフスタイル 二方龍紀
第11章 年金と世代 田渕六郎
1…………はじめに
2…………年金とライフサイクル・ライフコース
3…………年金制度とそのバリエーション
4…………年金の「再分配」機能
5…………世代会計の視点
6…………世代会計の問題点
7…………おわりにColumn 贈与関係と時間幅 山本 馨
第12章 最終講義の社会学――知識人の老後 藤村正之
1…………知識人と知の変容
2…………大学教員の就職と退職
3…………「最終講義」という表現スタイル
4…………最終講義――清水幾太郎「オーギュスト・コント」
5…………最後の授業――阿部謹也「自画像の社会史」
6…………知の世代リレー第13章 メンタルヘルスケアの社会学 山田陽子
1…………社会現象としてのメンタルヘルスケア
1-1.若者言葉としての「ウツ」
1-2. 鬱病患者数の増加
1-3. メンタルヘルスケアを社会現象として考察する
2…………過労自殺という物語
2-1.電通事件――「心の健康リスク」の発見
2-2.「心の健康」問題としての労働問題
3…………ビジネスパーソンのメンタルヘルスケアをめぐる専門職
3-1. 産業医
3-2. メンタルヘルスケアのフロンティア
3-3. 経営コストとしての鬱病と自殺
4…………人的資源管理の医療化
4-1. 「怠慢社員」から「鬱病患者」へ
4-2. インフォーマル・グループの空洞化とメンタルヘルスケア
4-3. 「仕事=自己実現」の文化とメンタルヘルスケア
5…………むすびにColumn 不登校という経験 朝倉景樹
III 体験を生きる
第14章 戦争体験の社会史 野上 元
1…………はじめに
2…………戦争体験とは何か?
2-1.ライフコースと戦争体験
2-2.生き延びた者による語り
2-3.国家という共同体と個人の戦争体験
2-4.戦争体験の共有・継承と社会/国家
3…………戦争体験の「社会史」
3-1.言説としての「戦争体験」
3-2.総力戦と「戦争体験」
3-3.「市民の戦争体験」の卓越
4…………「戦争体験の社会学」の課題と可能性Column 歴史と記憶 翁川景子
第15章 低成長時代を生きる若者たち――〈満足する若者〉の可能性とその行方 岩田 考
1…………はじめに――不幸になる日本人と幸福な若者?
2…………若者は何に満足しているのか?――生活満足度の規定要因
2-1.経済的豊かさと幸福感
2-2.多くを望まない若者たち?
2-3.若者は何に満足しているのか?
3…………〈つながり〉の可能性
3-1. 若者は内閉化しているのか?――濃密化する友人関係
3-2.重層化する〈つながり〉の可能性
4…………おわりに――〈満足する若者〉の行方Column 震災体験 遠藤惠子
第16章 わたしが「あなたと〈ある〉」ために――認知症の人の「語り 出口泰靖
1…………はじめに
2…………「認知症」とされる人が「語る」
2-1.本人が「つぶやく」
2-2.「語り」はじめた「認知症の本人」
2-3.本人が「もの忘れ」を恥じる――「そういうことがあったんですか、格好悪いですね」
3…………「語れなくさせられてきた」人たち――記憶する能力を重んじ、認知症を忌避する社会
3-1.「語ることができない」とみなされてきた人たち
3-2.認知症フォビア――認知症を忌避する社会
3-3.「病識の欠如」という思い込み
3-4.「語り」と「同一性のある自己」と「記憶」
4…………聴き手の存在――「語る」こととは「聴く」こと
4-1.〈聴き手〉という存在の切実な必要さ
4-2. 相手との相互行為で生成される「記憶」「自己」そして「語り」
4-3.本人と聴き手との共同作業である“つぶやき”
5…………わたしが〈わたしである〉ために――「認知症」と〈なる〉、〈される〉ことによる存在証明の危機
5-1.身心状態の変化に対する不安と恐怖――「花に話しかけていた」
5-2.「社会」とつながりたい――「認知症」とされる人が「語る」理由の一つ
5-3.「語る」ことではじめて「当事者」となる
5-4.「認知症」と〈なる〉ことによる存在証明の危機
5-5.「認知症」と〈される〉ことによる存在証明の危機
6…………わたしが〈あなたとある〉ために
6-1.最期まで活かそうとする「語り」
6-2.「語りえぬ」時――「ある」という〈存在そのもの〉
6-3.わたしが〈あなたとある〉ためにColumn 中途障害 玉置佑介
第17章 ハンセン病者の半生――ある盲人の経験に見る身体と共同性 坂田勝彦
1…………はじめに
1-1. ハンセン病療養所で盲人として生きるということ
1-2. 身体から開かれる共同性
2…………二重の疎外――ハンセン病療養所における「失明」の負荷
3…………療養所の内外で生起する共同性
3-1. 障害を起点とした繋がりを模索する試み――「盲人会」の活動から
3-2. 共鳴する身体――「青い鳥楽団」の活動を中心に
3-2-1. 「青い鳥楽団」の活動と試行錯誤
3-2-2. 園外で初めて行われた演奏会でのある出来事
4…………おわりにIV 社会背景
第18章 少子高齢化社会 岩澤美帆
1…………当たり前ではない私たちの「生」
2…………死の脅威から人口爆発、そして少子化へ
3…………少子化の定義、経過、要因
4…………超低出生力
5…………人口転換・少子化による高齢化
6…………死亡率の改善と長寿化Column 福祉国家 金 成垣
第19章 健康化社会と不安 柄本三代子
1…………不安な社会を生きている
2…………健康化する社会について考えてみよう
3…………ライフコース全般に広がる不安感
4…………社会学者たちはこのあいまいな不安と不確実性をどうとらえたか
5…………合理的判断の錯綜Column 3・11以後の身体の社会学に向けて 山本敦久