購入【社会調査】

「見る」と「書く」との出会い―フィールド観察学入門

「見る」と「書く」との出会い―フィールド観察学入門

 

 この本を執筆するきっかけになったのは、2002年9月と同年12月の2回、奈良女子大学付属中等教育学校の生徒たちに対する「幼稚園観察」の実習を担当したことであった。付属中等教育学校では、中学3年生と高校1年生に相当する生徒たちに、大学で行う学問とはいったいどのようなものかを体験学習してもらうことを狙いとして、大学教員の協力を得て「アカデミックガイダンス」なるプログラムを立てていた。当時付属幼稚園の園長を兼任していた私は、中等教育学校の依頼を受けて「発達心理学入門」という講義タイトルで、生徒たちの「幼稚園観察実習」を引き受けることになったのである。計5日間、それぞれ3時間の授業時間だった。生徒たちが実際に園児を観察したのは2日間である。残りの時間は、生徒たちに「園児たちについての観察から分かったこと」や、また「観察するという行為の意味」などについて、いろいろ議論してもらった。(i-ii)。