メモ【認知症】

http://www.shinmai.co.jp/news/20100211/KT100205CVI090001000022.htm

認知症なら「入所を断った」約18% 県内施設が回答
2月11日(木)


 信濃毎日新聞社認知症介護を担う施設の状況を探るため、「県内施設アンケート」を行い、10日、結果をまとめた。17・9%が「認知症の症状を理由に利用や入所を断ったことがある」と回答した。在宅介護を支えるショートステイ(短期入所)で42・9%、認知症を想定したグループホームでも21・1%に上り、暴力や徘徊(はいかい)といった認知症特有の症状に対応しきれていない実情が明らかになった。

 入所希望の待機者数は、特別養護老人ホームが1施設平均265・1人で、平均利用者数の4倍。グループホームも8・7人で、1施設の基本的な定員9人に相当する数だった。県内グループホームの待機者数の現状が分かったのは初めて。

 複数の施設に申し込んでいる人も多いとみられる。県の調査では、重複などを除いた特養の待機者は1施設平均約30人。入所希望者の混乱を防ぐには、各施設が抱える大量の申し込み名簿との開きを調整する必要もありそうだ。

 調査は、1月上旬に特養など介護保険サービスを提供する県内1918施設に送付、736施設の回答を得た。それによると、認知症の人が「利用者の半数以上」とした施設が53・2%を占める。

 利用を「断ったことがある」との回答を施設別にみると、比率が高いのは、介護老人保健施設(71・0%)や介護療養型医療施設(53・8%)。ショートステイグループホームのほか、特養は21・5%。「断ったことがない」は全体で65・6%だった。

 断る理由となった症状(複数回答)は、「ある」とした施設の58・3%が「暴力」、55・3%が「徘徊」を挙げている。次いで「暴言」(25・8%)「不眠」(17・4%)「妄想」(14・4%)−の順。「ほかの利用者に影響が出る」「職員が対応できない」とする施設が多い。

 「認知症に特別なケアや何らかの配慮、工夫をしている」とした施設は80・0%に達し、受け入れ後、施設側が配慮している状況もうかがえる。一方で、25・0%が「何らかの拘束を行わざるを得ない利用者がいる」と回答。症状が激しい場合に拘束を選択する施設は少なくない。

 職員数は「十分」「まあ十分」が57・3%と過半数だが、「やや不足」「不足」も40・8%に上る。不足している業務(複数回答)は、55・7%が「ヘルパー」、42・0%が「看護師」を挙げた。全体の61・3%は「この1年で退職した職員がいる」とした。

 施設の経営状況は「苦しい」「やや苦しい」が59・4%。「余裕がある」「まあ余裕がある」は31・5%にとどまっており、施設側の悩みも大きいといえる。